北海道枝幸町にあるスポーツクラブで、「わたしのトリセツカード」を活用した研修を実施しました。
職場では、一人ひとりが異なる価値観や経験を持っています。同じ言葉を聞いても、受け止め方や行動はさまざまです。しかし、日頃から自分の考え方や望んでいる関わり方を伝える機会は、それほど多くありません。
そこで役立つのが、自分自身の「私のトリセツ」を作る取り組みです。
45枚のカードから自分を知る
「わたしのトリセツカード」は、仕事で大切にしている価値観や働き方、周囲との関わり方を整理し、自分の言葉で伝えるためのコミュニケーションツールです。
45枚のカードは、自己紹介や好きなことなどの話しやすいテーマから始まり、心の整え方、価値観、人間関係、目標・挑戦へと段階的に深まる構成になっています。
いきなり深い話を求めるのではなく、話しやすいテーマから少しずつ自己開示していくため、無理なく相互理解を深められることが特徴です。
「今は話しにくい」も大切な意思表示
研修では、カードを「話せる」「考え中」「今は話しにくい」の3つに仕分け、自分の傾向を確認してもらいました。
すべての項目について話す必要はありません。「今は話しにくい」と意思表示できることも、心理的安全性のある職場づくりには欠かせません。
大切なのは、自己開示を強制しないことです。本人が共有した範囲を尊重することで、安心して対話できる土台が生まれます。
相手を責めない、柔らかな伝え方
私のトリセツを作る際には、「〇〇してください」と相手に要求するのではなく、「〇〇してもらえると助かります」と、自分を主語にした柔らかな表現を使います。
例えば、「急に予定を変えないでください」ではなく、「予定を事前に共有してもらえると、落ち着いて準備できます」と伝えます。同じ内容でも、表現を少し変えるだけで、相手の受け止め方は大きく変わります。
また、結論から話してほしい人もいれば、経緯を丁寧に聞きたい人もいます。コミュニケーションスタイルの違いを知ることは、職場のすれ違いや思い込みを減らし、円滑な協働につながります。
わたしのトリセツは「育てていくもの」
自分の価値観や働き方は、経験や立場、職場環境によって変化します。そのため、わたしのトリセツは一度作って終わりではありません。定期的に見直し、更新しながら育てていくものです。
そして、私のトリセツを人事評価や人物の決めつけに使ってはいけません。「この人はこういう人」と分類するためではなく、「どうすればお互いに気持ちよく働けるか」を考えるためのものだからです。
心理的安全性は、特別な制度だけで生まれるものではありません。自分を知り、相手を知り、違いを尊重する小さな対話の積み重ねから育ちます。
「わたしのトリセツカード」が、職場の相互理解と信頼関係を深めるきっかけになればうれしく思います。
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