こんにちは、社会保険労務士の倉雅彦です。
2025年5月8日に改正労働安全衛生法が成立し、同年5月14日に公布されました。この改正により、これまで努力義務とされていたストレスチェック制度が、従業員50人未満の事業所でも義務化されることになります。施行は公布から3年以内、つまり遅くとも2028年5月までには始まりますが、政令で早まる可能性もあるため、今からの準備がとても大切です。
ストレスチェックの目的は「一次予防」です。これは、不調が表面化する前に、ストレスの兆しを捉え、早めに対応するという考え方です。社員の不調を放置してしまうと、やがて休職や離職へとつながり、企業にとっても大きな損失になります。だからこそ、早期の気づきと予防が重要なのです。
当事務所では、こうした「予防」の考え方を実践的に取り入れるための研修として、「セルフケアカード研修」を提案しています。この研修では、自分らしいストレス対処法(コーピング)の引き出しを増やし、「気づいて・選んで・動く」というセルフケアの力を高めていきます。
例えば、「疲れたときに深呼吸する」「話せる人に声をかける」「自分を褒める」など、個々に合った対処法をカードで視覚化しながら学ぶことで、実生活でもすぐに活かせる力が身につきます。これにより、メンタル不調の未然防止にも大きな効果が期待できます。
さらに、ストレスチェックには「80項目版」という詳細な調査票があり、これは厚生労働省が提供する「職業性ストレス簡易調査票」の拡張版です。一般的な57項目版よりも細かく従業員の状態を把握でき、職場環境の課題の見える化や改善の方向性の明確化にも役立ちます。
ストレスチェックの活用目的としては、以下のような点が挙げられます。
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従業員のストレス状況の把握
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職場環境の課題の特定
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メンタルヘルス不調の予防
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生産性の向上
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より良い職場環境の構築
中小企業こそ、「人」が資本。制度の義務化をきっかけに、社員一人ひとりがいきいきと働ける職場づくりに取り組んでいきましょう。準備や運用に不安がある場合は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。